いつか朝日が昇るまで

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「毎日かあさん」が教えるDVの現実とその対処法

毎日かあさん』の著者である西原理恵子さんが,自身のDV体験を踏まえてDVにどう対処すればよいかを話してくれています。映画でもその現実がよく伝わっていましたが,今回のインタヴューもとても参考になります。

 

西原さんの経験談

─ そうですね。ありがとうございます。御自身も、暴力を受けた御経験をお持ちということなのですが、そのころのことについて少しお話いただけますか。

 

○西原 もう、今から40年ぐらい前、夫婦げんかでも、男の人は女の人を殴っていいという文化や土壌がありました。それで、お父さんとお母さんが子供を殴ってもよかった。そんな時代でしたね。私は幸い、義理の父親が殴らない父親だったので、よく友達にうらやましがられてました。ただ、私の周りの先輩の女性たちが16歳ぐらいで男性と一緒になって、妊娠して、18歳で捨てられて、20歳でまた次の男性に捨てられて、どんどん負の連鎖に陥ったり、安いアパートで3人ぐらいの子供を本気で怒りながら育てているというのをたくさん見てきたので、私は夫に殴られない、子供を殴らなくて済む生活がしたい、その一心で東京に来て、大学に行って、自分で仕事を持って、ここまでやってきました。

ここまでやってこられたのは母親が働いていたおかげで、私も兄もきちんとした教育を身につけることができました。私は、東京に出て、やりたい絵の勉強をしなさいと言って出されました。だから、ちょっとほかの子より覚悟が違っていたと思います。

とにかく東京に来て、明日の水道代を稼ぐために三流、五流のエロ本に売り込みました。そこなら雇ってくれるんです。私の下手な絵でも使ってくれるんです。エロ本で修業して、お金を稼いで、大学3年生くらいのときかな、月収30万円になったんですよ。それがうれしかった。自分が子供を産むなら、絶対頑張って働いて、子供を静かにしなさいと言わない環境で育てたいという、それがいつも夢でしたね。おかげでうちの家の子たちは部屋で縄跳びしています。

でも、残念ながら、結婚してしまった相手がアルコール依存症という恐ろしい病気にかかっていて…。あのような精神状態の悪い人というのは実は本当に誰にも気づかれないうまさを持っているんです。弱い人しか狙わないんです。

DVの人もそうですけど、奥さんのおなかだけ蹴るとか、それでいて会社の人にはぺこぺこするとか。だから、暴力を受けている女性たちは誰にもわかってもらえないような方が非常に多いです。あんなにちゃんとした優しいお父さんでしょうと。人前では優しいお父さんを平気でやりますからね。

 

─ そうなんですか。

 

○西原 はい。モラハラ※でぼろぼろにするとか。そのときはそれが病気だということを私は長くわからなかったので、彼がけもののような恐ろしい、性格の悪い人だと気がついたときは子供が2人いて、腰を抜かすしかないんですよ。狭い空間で、自分よりも力の強い人間が、まともに立ち向かったら暴れ出すんですよ。例えば6時間でも7時間でも寝ないで起こして、人格的に否定されるというか、どんなひどいことでも言いますから。ただ守って、子供といて、とにかく1時間でもいいから寝て、次の日、起きたら仕事をしなきゃというのが6年間続きましたね。

※いわゆるモラルハラスメントの略語。言葉や態度等によって行われる精神的な暴力を指す。 

 

─ 6年ですか。

 

○西原 だから、そのときに、この人はもう死んじゃったほうがいいなと本気で思って。例えば向こうから濁流が流れてくる。夫も流れてくる。でも、私の手は2本だから、つかむならまず子供。次は仕事ですよ。何があっても仕事は手放したらいけない。それは子供たちのためですし、自分が生きていくためですから。夫はもう仕方がない、流れてもらおうと決めて、彼と離婚して、そこから一つ息をついて初めて、彼がアルコール依存症という病気であるという知識を身につけることができましたね。

依存の方というのは「底つき」と「気づき」というものが絶対に必要。そのためには、家族が全部、彼を捨てるんです。一切、面倒を見てはいけない。でも、大好きな夫が駅前でひっくり返っているとか、それを放置するというのはものすごい根性が要るのですよ。家に火をつけても放っておくというぐらいの根性が要るんです。そのときに、彼は初めて、自分は死んじゃうかもと気がつくのです。それが「底つき」と「気づき」です。

DVも病気みたいなものなんです。だから特に若い女性、赤ちゃんのいる女性は、シェルターがありますから、そこへ逃げる。何があっても我慢してはいけないということですね。私はそれをいつも講演会で話してます。本人は何を言ってもわからない状況になっているので、周りの方が声をかけてあげる。あなたの家はもしかしたらそうなんじゃないのと、シェルターに逃げないといけませんよと。

暴力の連鎖を子供に継がすと、子供は貧困と暴力と嘘の中で育ってしまいます。それは一番やっちゃいけないこと。私はそれに気づくのに6年もかかってしまったんです。

それで「底つき」があって、いよいよ本当に治すと彼が言って戻ったときは非常に優しい素敵ないい彼になっていて、初めてけんかのない思いやりのある家庭を私は彼と半年だけ過ごすことができたんです。彼は悪性のがんだったので死ぬ時期は決まっていたんですけれど、私がもう1年早く手を放してあげれば、「底つき」が早ければ、彼はもう1年長く、人として生きられてましたね。

うちの夫を人に戻すのにも、がんのときにちゃんと死なせるにも物すごいお金がかかりました。だから最後に彼を人に戻して、ありがとうと言って、愛してるよ、と言って彼は死んでいったんですけれど、本当にそのときお金があって良かった、ということが分かって、これだ、みたいな。

人が人であるためには、お金が要ります。そのためには働いてないといけません。それがやっぱり一番、先輩女性として後輩の女性に言いたいことです。

西原理恵子 - 「共同参画」2013年11月号 | 内閣府男女共同参画局

 

どうすればいい?

6年間の経験で必要なのはとにかく逃げること。そうです,相手はまともではありません。逃げるために周りも協力してあげなければなりません。当事者はそれがDVだと気付かないところもあるのですから。

 

さらに具体的なアドバイスも。

 

─ 若い人たちに何か教えてあげられることは?

 

○西原 二十歳の女の子に語るために、二十歳の女の子の理想の結婚の条件というのをアンケートでしたら、1位が人間として価値観の合う人、2位がお互い尊敬し合える人で、3位が高収入というんだけど、40代になったら、理想の結婚相手の1位は、殴らない人というのです。2位が、どんなに低収入でもいいから、定職のある人。仕事をしてない男はもう金輪際ごめん。所得が少なくてもきちんと仕事をもっている人。それで3位が、できれば優しい人というのです。そうすると、この20年で女の人生に何があったのかということがわかってしまうという。

 

暴力は受け始めたら、それで腰を抜かして逃げられなくなるという女性の方が多いので、とにかく先に知識を持つ。シェルターに行く。実家に帰る。受け入れ体制は常に整え、あとはきちんとずっと働いていることですね。それから、隠し預金をつくっておいて、絶対言わないとかね。逃走資金は絶対必要。

 

(省略)

 

─ でも、難しいですよね。どうやったら減らしていけるのでしょう。

 

○西原 まず女の子が自立した母親になることだと思います。子供を持っている女の人が収入を得ると、途端に変わるんですね。あとは教育ですよね。どんな女の子たちでも、親に殴られても、殴るって超やばいよということを知っていれば、殴らない彼氏のところへ行こう、みたいな。

 

(省略)

 

─ ありがとうございます。最後に、配偶者や交際相手などの身近な人からの暴力に、今、悩んでいる女性に向けて一言お願いできますか。

 

○西原 夫の前で断固拒否して、とにかくシェルターに逃げてください。実家でも逃げてください。それで、周りの人たちにきちんと、殴られたことを声を高々に言わなきゃいけません。子供の学校がとか、関係ないです。今、あなたが我慢することによって、子供が殴る子供、殴られる子供になります。暴力は必ず連鎖します。だから、今、勇気を出して、そこから飛び出してください。

 西原理恵子 - 「共同参画」2013年11月号 | 内閣府男女共同参画局

 

やはり金と仕事は重要だということですね。そうしないと生きていけないですからね。西原さんの場合は漫画がありましたが,ほかの人は…。なかなか難しいかもしれませんが,そういう人も隠し資金を持って,とりあえず逃げるというのが必要でしょう。

 

配偶者暴力支援センターとは?

ここにも出てきていますが配偶者暴力支援センターというのは何なのでしょうか。

配偶者暴力相談支援センターとは

 

都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たしています。また、市町村も自らが設置する適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすよう努めます。配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、

 ・相談や相談機関の紹介

 ・カウンセリング

 ・被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護(※)

 ・自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助

 ・被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助

 ・保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助

を行います。

 

※一時保護については、婦人相談所が自ら行うか、婦人相談所から一定の基準を満たす者に委託して行うこととなります。

相談機関一覧 | 配偶者からの暴力被害者支援情報 | 内閣府男女共同参画局

 

こういうものがあるんですね。勇気を出して相談すること。それが最も必要でしょう。また,DVというと暴力のみを連想しますが,言葉のDVもあります。ひどい言葉は暴力を振るわれたのと同じようなダメージを精神に与えるようです。

 

何かおかしいと思ったら相談した方が良いと思いますね。自分で考えていても解決策なんて思いつかないですから。

 

最後に

肉体的な暴力だけでなく精神的な暴力もまたDVです。周りの話を聞いていると「それDVじゃないの?」というのもあります。幸い,私の周りの人は相談できる人もいますし,改善もされているようです。一人で抱え込んでいる人は本当に大変だと思います。特に子供がいたら…。

 

またこれは男性から女性への暴力だけではありません。女性から男性への暴力というのもあります。お互いがお互いのことを思いやれなくなったら夫婦は終わり。そうならないために必要なことはしっかりと行っていきたいものです。

 

 

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