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いつか朝日が昇るまで

子育て、受験、日々考えたことなどを紹介するブログです。みなさんの気楽な子育て,中学受験を応援します。

人生を諦めるということ~ある先輩との別れ

今回は子育てとは関係ありませんので、それを期待されている方はそっとページを閉じて下さい。

 

「これだっけやって結果が出ないんだから諦めて別のことやりなさい。諦める勇気も必要」

 
こういうアドバイスって誰でも一回はされたことがあると思う。こういう直接的な表現ではなく、「別の道の方があってる」とか。こういうのが世の中では「よい決断」とされ、それがビジネス成功の秘訣だと言われたりもする。でも成功した人は何処かでは諦めていないから成功しているというのもあるはず。もちろんこれには努力よりも運が良かったという面が大きい。
 
 
 
でも世の中には諦め続けることを強いられ、人生をも諦めるという選択をする人もいる。私の先輩がそうだった。
 
 
 
もう彼が自ら命を絶ってから10年以上になる。彼は結婚もした。子供もできた。でも彼は常に「死にたい」ともがいていた。そんな彼と泣きながら酒を飲んだこともある。世の中なんて理不尽なんだ。信頼していた人に裏切られた時だった。そんな人だった。
 
彼との出会いは修士課程に入ったころだったので,20代前半の時だ。とにかく人に絡んでいた。酒を飲んで絡んでいたというわけではなく,論文の内容に絡んでいた。
 
「これやって何か意味あるの?」
 
彼の口癖のようだった。そういう気質が若いころの私にもあったから気が合ったのかもしれない。研究会以外でも以外でも会うようになった。
 
ある日,奥さんにどうやってプレゼントを渡したらいいか相談され、アドバイスしたらそのまま実践したらしい。後から奥さんに教えてもらった。そういう不器用な人だった。
 
彼はいつも絶望していた。とてもまっすぐな人で生きづらかったのかもしれない。だから色々なことを諦めて生きてきたのかもしれない。
 
彼が亡くなった日、私は電話しようとした。でもしなかった。自殺の衝動は発作的なものである。「あの時電話していれば…」と今は思う。でも当時は違っていた。裏切られたと思った。研究を一緒に頑張ろうと言ったのに、死ぬとは何事かと。
 
彼の両親も奥さんの両親も地方に住んでいたので、彼の遺体をきれいにしたり、家を掃除したりするのは何人かの友人で行なった。奥さんに「信じられないでしょ…」と泣いている奥さんと掃除をした。
 
後で聞いた話であるが,以前にも彼は自殺未遂をしていたらしい。一緒に仕事していた時に風邪で休んだ日があったので,おそらくその時だったのだろう。奥さんに「みんなにこんなに迷惑かけるんだから,もうこんなことやめよう」と言われて,彼はうなずいているようだったのに…。まさか…。
 
この日,奥さんは第一発見者になった。その時の気持ちを考えると言葉にならない。

 

彼の遺体を運んだ時に、「人間ってこんなに軽くなるんだな」とやっと彼の死を実感した。自ら命を絶ったので血が大量に出て軽くなったのかもしれない。
 
自宅に来た警察官が「奥さんが向こうの親族に責められるから守ってあげて」と言い残して去って行った。そうだよな。なんてそんな罪なことをして亡くなってしまったんだ…。その時奥さんは妊娠中だったが、離婚しようという話になっていたらしい。それで彼はアルバイトも探して,アルバイトも決まっていた。これは私が紹介した仕事だった。
 
でももう新しい一歩を踏み出す気力がなかったのかもしれないなと今は思う。当時の私は「またいっしょに頑張りましょう」という気持ちだったが。
 
今でも彼が生きていたらどうだったろうかと思うことがある。色々な影響を受けて、今と違う研究をしていたかもしれない。
 
だから諦めるなと言いたいわけではない。ただ諦め続けることはつらいことだとわかって欲しい。世の中には人生まで諦めてしまう人がいるということを。
 
ふと考えてしまったことを記事にしてしまって今までの記事の内容とは違うけど、今日はちょっと書きたい気分だった。会えるものならもう一度会いたいなという思いが蘇ったということもある。
 
「俺はまだ約束守って研究してるぞ」
 
諦めの悪い後輩の叫びが彼にも聞こえたかな…。
 

 

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