いつか朝日が昇るまで

子育て、受験、日々考えたことなどを紹介するブログです。みなさんの気楽な子育て,中学受験を応援します。

「小さいときの記憶は残らないから無理やりでもやれ」って本当?

子育てで常に対立し、やっかいなのは子供に合わせるか、親に合わせるかというもの。もちろんどちらか一方という訳ではないのですが、そのバランスが人によって違うのです。


同じ場面でも、ある人は「あなた子供に合わせすぎよ」と言い、ある人は「もっと子供に合わせなさい」と言うわけです。それで、その違いが母親同士の摩擦を生み、「あの人は子供に全く注意しない」となるわけです。


それで本題に戻りますが、これは歯医者言った言葉です。1歳半検診で歯科検診があるのですが、そこで相談すると「無理矢理でも磨きなさい」と言われることが多いようです。実際に知り合いのお母さんが言われました。


歯医者としてはしっかり歯を磨いてほしいと思っているわけで,実際に歯磨きがそれでできるようになる人も多いようですね。このお母さんの子供も磨けるようになったようです。でも,いろいろと悩んでいる人もいますし,なかなか無理やりはできないという人も多いでしょう。我が家もそうでした。


子供の歯磨き。歯や育児の専門家と、育児経験者の意見の食い違い | 歯チャンネル歯科相談室 - 歯チャンネル88


我が家も歯磨き嫌いでした。今は時間はかかりますが、磨いてくれるようになりました。我が家の場合、息子は歯ブラシが歯茎にあたるのが嫌なんだそうです。自分で口を引っ張って歯を見えやすくして、歯茎に当たらないようにしてくれます。


そうなるまでに時間はかかりましたが、無理やりではありません。でも磨くまでに時間がかかるので疲れます。そうすると「無理やりやってしまえ」という意見が必ず出るわけです。


実際に幼児期の記憶は残らないと言われているようです。いわゆる幼児健忘症です。

ヒトは誰しも赤ちゃんだったころのことを覚えていません。これを幼児期健忘といいます。ある研究で,幼いころの重要な出来事(弟や妹が誕生,祖父母の死亡)について調べたところ,詳しく思い出せたのは3歳以降のことばかりで,それ以前についてはほとんど何も覚えていないことがわかりました。

しかし,乳児期にまったく記憶できないわけではありません。これまでの研究で,ヒトの生後3カ月で1週間,4カ月で2週間ほど記憶が保持されていることがわかっています。

さらに私たち(Kawai et al., 2004)は,すでに胎児期に学習・記憶ができることを示しました。チンパンジーの胎児に音を聞かせた後,母体を通じて不快な振動を与えるという「驚愕反射の条件づけ」を行ったところ,生後1カ月と2カ月時のテストで,胎児のときに与えられた音にだけ驚愕反応を示しました。

ではどうして私たちは赤ちゃんのころのことを覚えていないのでしょうか。大きく分けて2つの考えがあります。1つは,乳幼児期の学習は未熟で,記憶をうまく固着できない(記銘の失敗)とする考えです。もう1つは,記憶の貯蔵に必要とされた神経ネットワークが,後に発達したものに飲み込まれて,当時の記憶を思い出せない(検索の失敗)とする考えです。それぞれに合致する結果があり,完全に否定できませんが,これまでのところ,検索の失敗説のほうが支持されているようです。

いずれにしても,脳の発達と大きく関わっているようです。生後ゆっくりと脳が発達するネズミはヒトと同じく幼児期健忘を示しますが, 生後2,3日までに脳が完全に発達してしまう早成性のモルモットには幼児期健忘がなく,そのころの記憶は成体と変わりません。

一般的に子どもは1歳半ごろまでに言葉を話し始めます。つまり,1歳半ごろまでに言葉を記憶しているのです。よく考えると当たり前ですが,それでも赤ちゃんのころの記憶がないように感じるのは,「いつ」「どこで」「なにを」したかというエピソード記憶が発達していないからでしょう。「自分自身についての記憶」であるエピソード記憶は発達がとても遅く,4歳ごろに機能するといわれます。このため,幼児期の記憶がないと感じるようです。

日本心理学会


これを見ると無理やりやっても記憶に残らないから問題ないのかな。でも乳幼児期はとにかくお母さんが愛情を与えろと言いますよね。これは記憶とは関係ないということかな?よくテレビに出ている澤口さんは次のように考えているようですね。忘れるということが脳の発達に重要であるが,だからといってこの時期の環境が脳の発達に関係がないというわけではないと。

全ての(そう断言することはできないとしても,それなりに多くの)記憶が3歳頃に数週間程度の間で急速に失われる,という現象は幼児期以降では認知症にならない限り起こらない。このことは幼児期の脳とその発達過程が独特であることを明示している--「幼児脳(infant brain)」という言い方があるのはそのせいである。
したがって,胎児期を含めて,脳の発達過程に適した環境や教育は厳然としてあるし,逆に,発達を阻害する環境や教育もある。

記憶が脳にとって非常に重要なことは全くその通りで,脳が「記憶基盤構築(memory-based architecture)」であるという認識も正しい。
しかし,だからと言って,記憶の消去が無意味とかマイナスということにはならない。健常な脳の場合にはむしろプラスであることはまちはいない。非常に重要な脳機能としてのワーキングメモリにしても,記憶内容のリセットが必ず伴うし,重要なことでもある--このリセットがうまくいかない,というのが統合失調症の大きな特徴でもある。

幼児健忘症にしろ,脳をうまく発達させる,というポジティブな意味合いをもつはずであり,3歳頃までの環境や教育が不適切だと,幼児健忘症が「不十分ないし不健全」になり脳の発達に悪影響が及ぶ,という仮説さえ立てられる。
実際,虐待を受けた子どもの場合,幼児健忘症が終わる年齢(つまり,記憶が失われる年齢)が一般の子どもに比べて2倍も遅いというデータがある(Joseph 2003)--虐待によって記憶の消去がうまくいかずに遅れてしまう,とみなせるわけだ。

胎児期はもちろんのこと幼児期の脳とその発達過程は,少年期や成人期とはとても異なる,ということを踏まえれば,「幼児健忘症」と「脳の発達過程・段階に応じた適切な環境・教育の重要性」は決して排他的・相反的なものではなく,むしろ,結び付いている,と言ってもよい。

したがって,幼児健忘症という現象にとらわれずに,「脳の発達過程・段階に応じた適切な環境・教育」を是非とも与えてほしいと思う。

【10/02/03】3歳までの記憶:幼児健忘症について (脳科学者はかく稽ふ)


無理やりやらないに越したことはないけど,歯磨きは重要だからやるべきで,でもそれは子供に愛情をしっかり与えたうえでとなるのかな。結論は出ないんですけど,なるべく無理強いはしたくないですね。みなさんはどうでしょうか?

子どもの頃の思い出は本物か: 記憶に裏切られるとき

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