以下のトピシュさん (id:topisyu)の記事を読みました。妻ほどではないですが家事をしている男として呼ばれたに違いないと思ったので記事を書くことにします(笑)。
ダメだしをハラスメントと定義するヘーベルハウス『家事ハラ白書』のダメダメさ - 斗比主閲子の姑日記
トピシュさんも言及しているように「家事ハラ」とは一般的な言葉ではなく,この記事では以下のように述べています。「ダメ出し」とするよりも「家事ハラ」とした方が話題になると思ったのでしょう。煽っているといわれても仕方がないきじであり,報告書です。またこの記事がその「ダメ出し」に従うことこそこの問題の解決だとしているところが単にその場しのぎの解決策であり,問題そのものは解決しないだろうと思わせてくれます。
家事ハラは、「やり方が違う」など妻による家事のダメ出し。夫にとっては妻のやり方をしっかり“学習”することが、気持ちよく家事をする秘訣のようだ。
夫の約7割が妻の「家事ハラ」を経験!? 食器洗い「やり方違う」とダメだし | 株式会社 共同通信社
「家事ハラ」はダメ出しを意味するわけですから,「やり方が違う」というのが1番に来るのは当然の結果です。また男性でも女性でも「ダメ出し」されて「気持ちが良い」と答える人はいないでしょう。しかもその解決策が「ダメ出し」されないこととなるとそんなことは不可能です。
それでこの記事の結論が以下のようになっているのですが,ここら辺は調査しなくても分かっていることでしょう。問題はそれでどうするかですよね。
旭化成ホームズ「共働き家族研究所」の入澤敦子さんは「家事ハラ発生率の高い食器洗い、洗濯物干しは、家事デビューの夫にとっては、妻のやり方(流儀)が数多く潜み、しかも見えづらい。雑さが歴然と妻の目にふれる象徴的な家事」と指摘している。
夫の約7割が妻の「家事ハラ」を経験!? 食器洗い「やり方違う」とダメだし | 株式会社 共同通信社
そこでもとの研究の結論を見てみると,上記記事とは違って,さすがにそのダメ出しに従うことを推奨しているわけではないようです。そこでは以下のように書かれています。
「妻の家事ハラ」実態調査結果から見る共働き夫婦事情 共働き家族研究所 入澤敦子
「妻の(私の!?)つい口にした一言に、夫はいたく凹むのだ」というのが正直な感想だった。
しかし、結果を読み解く内に納得した。家事ハラ発生率の高い「食器洗い」「洗濯物干し」は、家事デビューの夫にとって、妻のやり方(流儀)が数多く潜み、しかも見えづらい。“雑さ”が歴然と妻の目にふれる
象徴的な家事だと言える。
建築家であり日本女子大で教鞭をとる篠原教授は、シェアの定義の中で
「場所・情報・モノの共有」「行為の分担・協働」を挙げている。妻の家事ハラは、情報の共有の大切さを感じさせる。
それは、住宅計画でも支援すべき課題である。そこに夫婦相互で意識的に「ありがとう」の感謝で歩み寄ることで、家事ハラが家事シェア(協働)に変わっていけば幸せと思えた結果だった。
次の調査では、夫婦合意の夫家事時給 900 円を目指すのが、私達研究所の役割だと言える。
http://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/dewks/report/20140714.pdf
話し合ってお互いに合意して家事をしていこうという話なのですが,こんなことは調査しなくても分かっていることですし,「家事ハラ」と言って煽る必要もありません。しかも「家事シェア」になったとしても「ダメ出し」そのものがなくなるわけではありません。だから繰り返しになりますが,どう家事の問題を解決していくかというのが問題なのではないですか?
それで記事の「ダメ出し」やアンケートそのものに対する「ダメ出し」はトピシュさんがしつこくやっておりますので,それについてはもう言うことはありません。そこで「共働き家族研究所」のホームページも覗いてみたのですが,冒頭に「旭化成は共働き家族を応援しています。」とあります。「共働きを応援」することがこんなアンケートをとって「家事ハラ」と煽ることではないと思いますが,とりあえずその突っ込みはやめておきます。
共働き家族研究所とは | くらしノベーション研究所 | 旭化成ホームズ株式会社
ではどうすれば良いかのかという話になるわけですが,こんな記事を書いていたらトピシュさんが以下の記事を書いていました。トピシュさんは家事分担をしてうまくいっているようですが,私は家事分担というのは分担そのものが重要なのではなく,分担した後にそれを調整できるのかが重要だと考えています。ですからトピシュさん夫婦は分担後の調整ができているわけですから,極端なことを言えば分担など決めなくてもうまく回ると思います。
家事分担について我が家でしていること - 斗比主閲子の姑日記
しかし,家事分担そのものに重きを置く夫婦はそうはいきません。頑なに分担にこだわるあまり,たとえ相手の調子が悪くても「これは君の仕事ね」となります。たとえ手伝ってもらえても「君の分担までやってやった」みたいに言われ,気分を害して喧嘩が起こるという分担前と同じ結果になることもあります。
私自身は分担制そのものに反対するものではないですし,それでうまくいく夫婦もいるとは思うのですが,分担がうまくできない夫婦も私の身近にはたくさんいます。そういう意味では分担というよりも家事そのものをある程度できるようにしてもらうこと,そしてある程度で納得することが重要だと思うわけです。
そのためには「家事ハラ」と煽るのではなく,また妻と同じように家事ができるようにと言うのでもなく,相手に家事という行為に慣れてもらうということが必要であり,やる気がなくなるような発言は極力控えねばなりません。みんな家事は継続してやってきたからできるようになったわけですよね?
だからもし家事を頼んで改善をしてほしい場合,「こうしてはダメ」ではなく,「こうした方が楽だよ」などの声かけに変えていく。これ子育てと同じです。またできるようになるまで「待つ」こと。これも子育てと同じですね。そういう忍耐が必要です。
私は料理なんて結婚するまでほとんど作らなかったのですが,結婚して5年。人に食べてもらえるものを作ることができました。それで料理をつくるということをしてみて思うのは,基本的に味に関してダメ出しされることはないということです。他の家事にも共通することですが,不満がたまるのはその周辺のことなのです。具体的に考えられるものを挙げてみますので,もし相手に料理を頼む場合,このような問題が起こると考えて長い目で見ていただければと思います。
①料理のためと普段使わない食材・調味料を買う。
「料理を作るぞ!!」と張り切りすぎて,料理本を買い食材や調味料を買いこみます。でも一回で使いきらないので,残るわけですよ。「それどうするの?」と妻は思うわけですよ。夫の側としては張り切って作ったのに最初にその反応をされると気持ちが萎えます。私の場合,「アボガド」と中華系の調味料があまって怒られたことがあります(笑)。こういう時は仕方がないのでそれを使った料理を継続して考えていただければ思います。すいません。他にも高等テクニックとしては次も「アボガド食べたい」です(笑)。そういう風に継続して料理をしていると「冷蔵庫にあるもので作る」ということができるようになります。あれって初心者には結構難しいんですよ。
②調理器具,調味料などの片づけ位置が違う。
「もとあったところに戻せばいいじゃないか!!」と思われるかもしれませんが,使った調理器具,調味料を出したままにしておくのでどこにあったのか忘れてしまいます。だから戻した時におかしな位置にしまってあることがあるんです。でもこれは繰り返し使えば覚えます。最初は忍耐が必要です。
③洗い場に洗い物がたまっている。
料理を作ることに専念しているので終わった時に洗い物がたまってしまうんですね。それで料理を作ることが仕事だと思っているので,片づけまでしたくない。それを見た奥さんは「だったら自分でやれば良かった」と思ってしまうのですが,それを口に出してしまうとトラブルが発生します。このような状態を防ぐためには,頼む料理を1品だけでにするという作戦があります。料理を頼まれると張り切って何品も作ろうとするわけですが,1品だけ頼む。そうするとそんなに汚くなりません。それで料理のスキルを上げてもらう。料理が手際よくできるようになると,作りながら片づけるということができるようになります。そうすると料理ができたときには洗い物も終わっているという状態が実現できるわけです。そうなるまでは待っていただきたいと思います。私でも5年で実現できました(笑)。
最後に
結局のところ,重要なのは相手に対する思いやりな訳で,家事分担などはあくまでも手段でしかありません。むしろ恒常的にいろいろな話すことができる関係を築いていくことこそが重要であり,それが「共働き」世帯に求められていることではありませんか?ねえ,旭化成さん!!

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