いつか朝日が昇るまで

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ネットで「デス・ノート」を実践する人たち

みなさんもよくご存知かと思われる「デス・ノート」。高校生の夜神月がデス・ノートに犯罪者の名前を書き込み,犯罪者のいない世の中を作ることを目指すもの。司法ではなく自らが世の中を裁くという使命感に基づいてドンドン犯罪者を抹殺していく。これこそが「正義」であり「正義」の名の下に自らの行為を肯定していく。

 

こうした行為,もちろん「デス・ノート」などは現在存在しないが,自らの「正義」の名のもとにネットで「私刑」を実践し社会的に相手を抹殺しようとする人たちがいる。最近で言えば「まんだらけ」による万引き犯の顔写真公開が挙げられる。

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http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20140807004975.html

 

 日本弁護士連合会の情報問題対策委員会の吉沢宏治弁護士は「犯罪歴を公にすることになり、プライバシーや名誉を侵害しかねない。情報を警察に提供して捜査を待つのが正しい姿ではないか」と言う。

 しかし「まんだらけ」は方針を変えるつもりはない。古川益三社長は取材に「商品を返して下さることを願っております。期日までに返還無き場合は画像公開、犯人の特定という処置を行う予定です」とのコメントを出した。

「万引き犯よ、返さないと顔写真公開」マンガ古書店警告:朝日新聞デジタル

 

こうした行為に理解を示す業者も多い。それほど万引き被害は深刻なのだろう。

全国万引犯罪防止機構が小売業など550社を対象にした調査では、昨年度の万引き被害額は推計837億円だった。まんだらけによると、寄せられた意見は公開に賛同するものが多く、「小さな店には死活問題。公開は抑止につながる」という同業者もいた。中村勝也・広報部長は「どこも対応に苦慮している。問題提起になったと思うが、反響が予想以上に大きかった。今後、顔写真の公開という対応を取るのは難しい」と話した。

まんだらけ同業者「万引きは死活問題」 顔公開巡り賛否:朝日新聞デジタル

 

万引きそのものを擁護するつもりはないが,以下の方と同じように,こうした動きに私は「危うさ」を感じる。

 

7日に店に来た東京都北区の会社員男性(31)は「これではリンチ。私刑と一緒。怖さを感じる」と話した 

「万引き犯よ、返さないと顔写真公開」マンガ古書店警告:朝日新聞デジタル

 

今回の場合,万引きという犯罪行為から店を守るために行われたのであるが,自らの「正義」のために「私刑」を行う人たちもいる。相手を実際に殺すわけではないけれども社会的な抹殺を試みる「デス・ノート」の実践である。

 

1年ほど前から、気に障った人にブログ上で「制裁」を加えるようになった。治療を巡りトラブルになった歯医者の顔写真や悪評、接客態度がおかしいと思った不動産会社の担当者の名刺……。「スッとするし、見せしめになっていい。みんなが共感してくれるかもしれないし」。まんだらけの件でも「僕は(公開に)賛成」と書き込んだ。

(中略)

 書き込みの最後は、必ずこう締めくくる。「正義は勝つ! 俺が正義だ!」

 一方で、ネット上の書き込み主を特定し、自分と直接関係ないことでも攻撃する人たちがいる。「ネット自警団」と呼ばれる。

 ホームレスに生卵を投げつけた動画をアップした大学生、飲酒運転や喫煙をしていることを書き込んだ未成年の女性……。「悪事」はネット掲示板で共有される。写真の位置情報、書き込み内容、そしてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)から書き込み主の個人情報を探り当て、さらす。悪口が書き込まれ、職場や学校には嫌がらせの電話がかかる。

 私が“さらす”理由…「店を守るため」「見せしめ」:朝日新聞デジタル

 

 ネット自警団に関しては以下のようなまとめも作られている。自分たちの正義をかたくなに信じ,それをネット上で実践していく。もちろん悪事を働く側が悪いという議論は成り立つが,警察の代わりに市民が自らの「正義」を実践していくという相互監視社会はとても怖い。

ネットの悪を排除する"ネット自警団"が恐ろしすぎる - NAVER まとめ

 

こうした動きが加速していくと「接客態度が悪い」とネットにさらす人たちも出てくる。自分たちの「正義」をもとに対象者の人生を破壊していく。それだけでも問題であるのだが,さらに問題なのはこうした「正義」がそもそも事実誤認もとづく場合もあることだ。スマイリーキクチさんの事件はその典型だろう。

 

キクチ もう何年も前に終わった話だと思っていたので、まだ続いていることに衝撃を受けました。疑問に思い調べてみたところ、事件を扱った一冊の本に辿りついたんです。

その本は「元刑事」という肩書きの人が執筆したもので、「犯人の一人は少年院を出てお笑いコンビを組んでいる」という内容が書いてありました。「Yahoo! 知恵袋」では「本に書かれていたお笑い芸人は誰ですか」という質問に、ぼくの名前が回答としてあげられていましたので、この本の影響力は大きかったと思います。

実際に、発売前の2005年ごろにはほとんど苦情や抗議はありませんでしたが、発売後から誹謗中傷が急激に増ました。この本にある犯人は何の根拠もないデマの情報でしたが、「元刑事」という肩書きだけで信じてしまう人が出てきてしまったんです。

ネット中傷被害を考える ―― もし、ネット上で「殺人犯」にされてしまったら / 江川紹子×スマイリーキクチ | SYNODOS -シノドス- | ページ 2

 

こうして事実誤認に基づいて行われた「正義」によって,大きな損害を被った人が存在しているわけで,自分たちの「正義」を安易に信じ,また不確かな情報に基づいて「正義」を実践する危うさ。ネット社会の負の側面である。

 

どのような場合でもネット上で人の個人情報を明かしたり,一方的に誹謗・中傷することは控えるべきである。その矛先がいつ自分に向かってくるのか分からないのだから…。

 

 

 

 

突然、僕は殺人犯にされた  ?ネット中傷被害を受けた10年間

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